フレッツ光の高速通信方式として「v6プラス」や「Transix」などがあり、サービス提供しているプロバイダーも増えてきています。
これらの高速通信方式に対応したプロバイダーを選ぶと、フレッツ光を高速に快適に利用することができるようになります。
ただ、この高速通信方式は技術的な話となり、ネット上には用語が乱立しています。
また、これら高速通信方式を実装したサービスも乱立気味となっています。
この記事では、これらフレッツ光に必須ともいえる「高速通信方式」の用語や実際のサービスをわかりやすくまとめて解説していきます。
「IPv4」通信と「IPv6」通信の違い
インターネットでは「通信方式」が決まっている
インターネットを使って通信するためには、通信の規格がきまっています。
現在の規格は「IPv4」と「IPv6」があり、「IPv4」は古い(従来の)規格、「IPv6」は新しい(これからの)規格です。
「IPv4」通信とは
「IPv4」規格によって通信する場合、「IPv4」規格に対応したサービス・サイトのみ利用できます。
現在では、インターネット上のほとんどのサイト・サービスが「IPv4」にしか対応していません。
「IPv6」通信とは
「IPv6」規格によって通信する場合、「IPv6」規格に対応したサービス・サイトのみ利用できます。
Google関連やFacebook・Twitter・Instagramなどの特に大きなサイト・サービスは「IPv4」と同時に「IPv6」にも対応しています。
時代はIPv6通信へ
また、「IPv4」でも「IPv6」でも通信するためにはアドレス(住所)が必要です。
現在はインターネットの普及により、このアドレスが枯渇しかけている問題があります。
よって、世の中の流れとしては「IPv4からIPv6へ!」と流れていますが、ここまで普及してしまった「IPv4」のサイトやサービスはなかなか「IPv6」へ移行できていないのが現状です。
しかし、時間はかかっても確実に「IPv4からIPv6へ!」という流れは進んでいます。
だけど「IPv6」通信の問題点
GoogleやFacebookなど、とても大きなサイト・サービスは「IPv4」規格にも「IPv6」規格にも対応しているので、あなたの環境が「IPv4」規格でも「IPv6」規格でも利用することができます。
ですが、世の中の多くのサイトやサービスは、まだまだ「IPv4」規格にしか対応していません。
あなたの環境が「IPv6」規格である場合、「IPv4」規格のサイトは見れない・利用できないことになってしまいます。
「PPPoE」認証と「IPoE」認証の違い
インターネットに接続するには「認証」が必要
プロバイダーを経由してインターネットへ接続するためには「認証」が必要です。
「あなたがあなたであること」を確認するため、そして「インターネット上の誰かがあなたのフリをしてあなたのパソコンに入り込まない」ようにするために、プロバイダーを経由してインターネットへ接続するためには「認証」が必要です。
「認証」はプロバイダーとインターネットの接続地点で行われます。
あなたがネットを利用する最初だけ認証されるのではなく、あなたのインターネット通信のすべてで認証行為が行われています。
「PPPoE」認証とは
「PPPoE」認証は負荷が高い(とても大変)
「PPPoE」認証とは古い、だけど現在もっとも普及している認証方式です。
認証の仕組みは単純ですが認証する機器(認証サーバー)には大きな負担がかかる認証方式です。
なぜ「PPPoE認証」は負荷が高いのか?
「PPPoE認証」は「ユーザーID」と「パスワード」で認証を行います。この認証行為はフレッツ光網とインターネットの接続点(回線終端)で行われます。
認証はすべての通信で行われますが、回線終端での認証のたびに通信の「ユーザーID」と「パスワード」を認証サーバーへ問い合わせなければなりません。
これは大変なんです。
なぜ「PPPoE認証」は混雑するか?
回線終端で行われる「PPPoE認証」では同時に認証(認証サーバーへの問い合わせ)ができる「同時実行数」に限りがあります。
通信量が増えてきて「同時実行数」が限界を超えると、認証待ちの通信が待たされてしまいます。
これが、「PPPoE認証は混雑しやすい」「PPPoE認証は遅くなる」という原因です。
なお、これは「PPPoE認証」の特性であり、たとえIPv6による通信であっても「PPPoE認証」であれば、同様に「混雑しやすい」「遅くなりやすい」となります。
「IPoE」認証とは
「IPoE」認証は負荷が軽い(とても楽)
「IPoE」認証とは新しい、IPv6規格でのみ利用できる認証方式です。
「IPoE認証」では「PPPoE認証」のような「ユーザーiD」と「パスワード」による認証を行いません。
なぜ「IPoE認証」は負荷が軽いのか?
「IPoE認証」はIPv6規格でのみ利用できる認証方式です。そして、フレッツ光でIPv6を利用するためには「フレッツv6オプション」を申請しなければなりません。
この申請を行う事で、フレッツ光網へIPoE認証による接続をした利用者のルーターは「認証済み」となります。
よって、IPoE認証では通信のたびに「ユーザーID」と「パスワード」で認証する必要がありません。
なお、IPv6であっても「PPPoE認証」を行う「IPv6(PPPoE)」通信方式の場合は、従来通り回線終端での「ユーザーID」と「パスワード」で認証されることになります。
なぜ「IPoE認証」は混雑しないのか?
このように、「IPoE認証」では利用者の「フレッツv6オプション申請」に基づき、利用者のルーターを承認済みとすることで、通信ごとの認証行為を行いません。
このように、「IPoE認証」では、通信自体を事前認証することで、通信の混雑の原因となり速度低下の原因ともなっている「回線終端での認証」を迂回するのです。
インターネットと通信・認証の仕組み「通信方式」
「通信規格」と「認証方式」
このように、インターネットを利用するためには「通信の規格」と「認証」が必要です。
「通信の規格」には「IPv4規格」と「IPv6規格」があります。
「認証方式」には「PPPoE認証」と「IPoE認証があります。
この「通信規格」と「認証」の組み合わせを「通信方式」と言い、以下の3通りがあります。
- IPv4(PPPoE)
- IPv6(PPPoE)
- IPv6(IPoE)
通信規格と認証方式の組み合わせ
「PPPoE」認証方式は「IPv4」規格でも「IPv6」規格でも利用されている認証方式です。
「IPoE」認証方式は「IPv6」規格でのみ利用可能な認証方式です。
つまり、通信規格と認証方式の組み合わせとして、ネット上では以下のように表記される場合があります。
通信方式 | 特徴 |
---|---|
IPv4(PPPoE) | 通信規格は「IPv4」通信、認証方式は「PPPoE」認証 ※「IPv4」対応のサイト・サービスのみ利用可能 ※認証サーバーの負荷が高く、混雑・速度低下しやすい |
IPv6(PPPoE) | 通信規格は「IPv6」通信、認証方式は「PPPoE」認証 ※「IPv6」対応のサイト・サービスのみ利用可能 ※認証サーバーの負荷が高く、混雑・速度低下しやすい |
IPv6(IPoE) | 通信規格は「IPv6」通信、認証方式は「IPoE」認証 ※「IPv6」対応のサイト・サービスのみ利用可能 ※認証サーバー不要のため、速い・快適が期待できる |
この3つの通信・認証の組み合わせのうち、あなたがどの通信・認証の方式が使えるかは、あなたが使っているプロバイダーによって違ってきます。
通信方式と認証方式の組み合わせは、ご利用のプロバイダーの仕組みよりかわります。
「IPv6(IPoE)」通信方式の問題点
これを見ると、より快適にネットを使うためには「IPv6(IPoE)」通信方式が良いように見えます。「IPv6(IPoE)」通信方式は、通信規格は「IPv6」で認証方式は「IPoE」の組み合わせです。
たしかに「IPv6(IPoE)」通信方式は、3つある通信方式の中でもっとも速くインターネット通信を行うことができる通信方式です。
しかし、「IPv6(IPoE)」通信方式は通信規格が「IPv6」であるため、IPv6対応のサイト・サービスしか利用できない通信です。
現在の多くのサイト・サービスはまだまだ「IPv4」規格なので、「IPv6(IPoE)」通信方式では利用できない、という問題があります。
「IPv4 over IPv6」通信技術
「IPv6(IPoE)」通信方式のメリットとデメリット
「IPv6(IPoE)」通信方式のメリット
ネットを快適につかうためには「IPv6(IPoE)」通信方式が良いように見えます。
「IPoE」認証は認証のための仕組みがシンプル・確実であり、認証サーバーでの都度認証をおこないません。このため、「IPoE」認証による通信は混雑しにくい、通信速度の速い通信が期待できます。
「IPv6(IPoE)」通信方式のデメリット
ですが、IPoE認証はIPv6規格での通信のみ利用可能な認証方式です。
現在はまだまだ多くのサイト・サービスがiPV4規格にしか対応できていません。
このため、IPv6規格でIPoE認証を使った「IPv6(IPoE)」通信方式では「IPv4サイトが見れない・利用できない」というデメリットがあります。
IPv4 over IPv6の仕組み
「IPv6(IPoE)」通信方式の「IPv4サイトが見れない・利用できない」というデメリットを解決するための技術が「IPv4 over IPv6」という技術(考え方)です。
「IPv4 over IPv6」技術(考え方)は、「IPv4の通信をIPv6通信のフリをしてしまえ!」という考え方です。
IPv6対応サイト利用時は、IPv6規格のままサイト・サービスを利用します。
IPv4対応サイト利用時は、認証まではIPv6規格「IPv6(IPoE)」で行い、認証後の通信はIPv4規格に変換してしまうことで、認証は「IPv6(IPoE)」通信は「IPv4規格」ということができてしまいます。
IPv4でIPv6のフリをする技術
「IPv4通信でIPv6通信のフリをする」を実現するための技術は大きく2つあります。
一つ目は「認証後」にIPv6からIPv4へ通信規格を変換する方法です。
二つ目はIPv4通信の場合(IPv4サイト利用の場合)はIPv4規格の通信パケットをIPv6規格で包んでしまい、「認証後」に包んでいるIPv6規格を取り除く方法です。包んでいる(外側)のIPv6規格を取り外すことで認証後の通信規格はIPv4規格となり、IPv4サイトを利用できるようになります。
この記事では具体的な「IPv4通信でIPv6通信のフリをする技術」については詳しい説明は省きます。

IPv4 over IPv6通信技術のメリット
IPv6通信でもIPv4サイトが見れる
このように「IPv4 over IPv6」技術によって、「IPv4通信でも(認証までは)IPv6通信のフリをする」ことで「IPv6環境でもIPv4サイトを見る・利用することができる」ようになります。
IPv6通信なら混雑の少ない「IPoE」認証が利用できる
そして、あなたの環境(自宅)とプロバイダーの認証サーバーの間をIPv6通信できれば、認証の混雑が少なく高速・快適な通信が期待できる「IPoE認証」が利用できるようになります。
つまり「IPv4 over IPv6」技術を「IPv6(IPoE)」通信方式で使うことで、「IPv6サイトもIPv4サイトも混雑の少ない高速・快適な環境になる」となります。
「IPv4 over IPv6」と「IPv6(IPoE)」の組み合わせで快適ネット環境
このように、「IPv4 over IPv6」の技術(考え方)を「IPv6(IPoE)」通信方式で利用することで、IPv6サイトもIPv4サイトも混雑の少ない高速通信ができる「IPoE認証」で通信できるようになります。
この「IPv4 over IPv6」と「IPv6(IPoE)」の組み合わせが、ネットの通信速度を高速化するサービスとして提供されています。
このサービスこそが「v6プラス」「Transix」「OCNバーチャルコネクト」などのサービスというわけです。
ここまでのまとめ:通信規格・認証方式・通信技術
通信規格
インターネット通信の規格には「IPv4」と「IPv6」の2つがあります。
「IPv4」規格は古い(従来)の規格、「IPv6」規格は新しい(これからの)規格です。
認証方式
プロバイダーとインターネットの接続地点ではすべての通信で「認証」が必要です。
認証方式には「PPPoE」認証方式と「IPoE」認証方式があります。
「PPPoE」認証方式は古い(従来)の認証方式で、プロバイダーの認証の仕組み(認証サーバー)に大きな負荷・混雑がかかるため、通信速度が低下します。
「IPoE」認証方式は新しい(これからの)認証方式で、プロバイダーの認証の仕組み(認証サーバー)を使わないため、高速な通信が期待できます。
通信方式
「PPPoE」認証は「IPv4」規格でも「IPv6」規格でも利用できる認証方式です。
「IPoE」認証方式は「IPv6」規格でのみ利用できる認証方式です。
そのため、「通信規格」と「認証方式」の組み合わせとして、以下の3つの通信方式があります。
- IPv4(PPPoE)通信方式
- IPv6(PPPoE)通信方式
- IPv6(IPoE)通信方式
「IPv6(IPoE)」通信方式はもっとも高速な通信が期待できますが、通信環境がIPv6規格であるためIPv4対応サイト・サービスを利用することができません。
IPv4 over IPv6通信技術
「IPv4 over IPv6」通信技術は「IPv4通信でも(認証までは)IPv6通信のフリをする」ことを実現する仕組みです。
IPv6サイト・サービスの利用時にはIPv6で通信し、IPv4サイト・サービスを利用する時には「認証まではIPv6、認証後はIPv4」という通信ができてしまいます。
この「IPv4 over IPv6」通信技術を「IPv6(IPoE)」通信方式で利用することで、IPv4サイトを見る・利用する場合でも混雑の少ない高速な「IPoE認証」を利用することができるようになります。
「IPv6(IPoE)」+「IPv4 over IPv6」
このように「IPv4 over IPv6」という仕組みを「IPv6(IPoE)」通信方式で利用できるサービスが、現在のインターネット接続では必須となる高速通信サービスです。
「v6プラス」「Transix」「OCNバーチャルコネクト」などのサービスがあります。
フレッツ光の高速通信方式
フレッツ光の問題点
フレッツ光では現在大きな速度低下の問題があります。特に夜間になると、大きく通信速度が低下し「動画が見れない・止まる」などの現象が起こっています。
これは、スマホの普及と動画サービスや映像・音楽配信サービスの普及によってインターネットが非常に混雑してきている状況に加え、フレッツ光の多くのプロバイダーが認証方式に「PPPoE認証」を使っているためです。
問題点を回避する高速通信方式
このフレッツ光の夜間の速度低下の問題を解決できる技術が「IPv4 over IPv6」と「IPv6(IPoE)」を組み合わせた高速通信方式です。
高速通信方式は現在6つあります。
v6プラス | 日本ネットワークイネイブラーが開発し各社へOEM提供 現在、もっとも普及している高速通信方式 |
---|---|
IPv6オプション | BIGLOBE独自開発の「v6プラス」互換方式 BIGLOBEで利用可能 対応ルーターは「v6プラス」用が使える |
Transix | IIJ系列のインターネットマルチフィード社が開発し、各社へOEM提供 v6プラスと双璧のサービスで広く普及 |
IPv6高速ハイブリッド IPv6 IPoE + IPv4 | ソフトバンク系列で採用 ソフトバンク系列以外のプロバイダーへは提供されていない |
OCNバーチャルコネクト | NTTコミュニケーションズ提供 比較的新しいサービス NTT系列プロバイダーを中心に広まりつつある |
クロスパス | アルテリアネットワークス提供 最も新しいサービス 楽天ひかりで採用 |

v6プラス
「v6プラス」は日本ネットワークイネイブラー社(JPNE)が開発し、多くのフレッツ光コラボのプロバイダーへOEM提供されています。
現在もっとも普及している高速通信方式なので、情報も豊富だし対応ルーターも多いです。
IPv6オプション
「IPv6オプション」は大手プロバイダーBIGLOBEが独自開発した高速通信方式で、「v6プラス」互換です。
BIGLOBE光やBIGLOBEのドコモ光など、BIGLOBE内でのみ利用されています。
対応ルーターは「v6プラス」用のものがそのまま利用可能です。
Transix
「Transix」はIIJ系列の「インターネット・マルチフィード社」が開発・提供している高速通信方式です。
自社サービスのIIJ光でサービス提供しているほか、他社フレッツ光コラボのプロバイダーへもOEM提供されています。
ネット上では「DS-Lite」と記載される場合もありますが、同じものです。
「Transix」はサービス名称、「DS-Lite」はサービスの基になっている技術規格の名称です。
IPv6高速ハイブリッド IPv6 IPoE + IPv4
ソフトバンクが提供しているのが「IPv6高速ハイブリッド IPv6 IPoE + IPv4」です。
ソフトバンク系列の「ソフトバンク光」や「Yahoo!BB光」で利用されている「IPv4 over IPv6」+「IPv6(IPoE)」のサービスです。
ソフトバンク系列以外のフレッツ光コラボへはサービス提供されていません。
そのため、対応ルーターは市販されておらず、オプションサービスの「光BBユニット」が対応ルーターとなります。
OCNバーチャルコネクト
大手通信キャリア「OCN」を運用しているNTTコミュニケーションズが開発・提供している高速通信方式が「OCNバーチャルコネクト」です。
「IPv4 over IPv6」+「IPv6(IPoE)」の技術です。
「OCNバーチャルコネクト」は比較的新しいサービスで、OCN光以外にもNTT系列のぷららやDTI光などでサービス提供されています。
「OCNバーチャルコネクト」を利用する場合の注意点は対応ルーター選びです。
比較的新しいサービスなので、「OCNバーチャルコネクト」対応しているかどうかの確認が必要ですね。
OCN光 | |
ぷらら光 | 「ぷららv6エクスプレス」として提供中 |
ドコモ光(OCN) | OCNが提供するドコモ光サービス |
ドコモ光(ぷらら光) | ぷららが提供するドコモ光サービス |
DTI光 | DTI(ドリームトレインインターネット)が提供 |
クロスパス
VNEとして16社拡大後の新規参入事業者「アルテリア・ネットワークス」が開発・提供しているのが「クロスパス」です。
VNE事業者としての参入が2018年3月なので、新規参入即新サービス提供ということで注目したいサービスです。
技術基盤はTransixと同じ「DS-Lite」方式なので、「クロスパス対応ルーター」でなくてもDS-Lite対応・Transix対応のルーターであれば接続設定を少し変えるだけでクロスパスでの利用が可能です。
現在は「楽天ひかり」でのみ採用されており、今後に注目です。
フレッツ光を快適につかうためのまとめ
高速通信方式はもはや必需品
フレッツ光は夜間になると急激に通信速度が遅くなり「動画が見れない・止まる」という現象が発生しています。
これはスマホの普及と動画サービスや映像・音楽配信サービスの普及によって、フレッツ光とプロバイダーの接続地点での認証が混雑しているからです。
この「認証の混雑」を解消し、かつIPv4サイトもIPv6サイトもどちらも見れる・使える、というサービスが「高速通信方式」です。
表記にだまされるな
「IPv6(IPoE)」だけでは速いけど使えない
プロバイダーの広告で「IPv6(IPoE)」だから速い!という広告も見られますが、これには注意が必要です。
たしかに「IPv6(IPoE)」であれば、フレッツ光の混雑の原因である「PPPoE認証」ではなく「IPoE認証」が使えることで速度低下を回避することができます。
ただし、この「IPv6(IPoE)」だけでは「IPv6対応サイトだけしか見れない・利用できない」というサービスになっています。
「IPv6(IPoE)」と「IPv4(PPPoE)」のプロバイダーも・・
フレッツ光は標準で2セッション(2つの通信)が可能なので、「IPv6サイトはIPv6(IPoE)で通信」「IPv4サイトはIPv4(PPPoE)で通信」ということができてしまうんです。
この場合「IPv6(IPoE)」だけは速くなりますが、肝心の「IPv4(PPPoE)」は遅いままです。つまり、IPv4サイト・サービスの利用では遅いまま、となります。
通信方式だけではなくサービス対応状況を確認
「IPv4通信でもIPv6通信のフリをする」という「IPv4 over IPv6」と「IPv6(IPoE)」をセットにしたサービスを提供しているプロバイダーを選ばないといけません。
この「IPv4 over IPv6」と「IPv6(IPoE)」をセットにしたサービスが「v6プラス」「Transix」「OCNバーチャルコネクト」などです。
フレッツ光のプロバイダーを選ぶ場合には「IPv6(IPoE)対応!」だけでなく、さらに「IPv4 over IPv6」にも対応しているかを確認しましょう。
高速通信方式対応プロバイダーと対応ルーター

「v6プラス」と「Transix」はどちらが速い?
6つの高速通信方式
前章で述べたように、現在「IPv6(IPoE)+IPv4 over IPv6」を採用した高速通信方式は5つあります。
- v6プラス
- Transix
- IPv6オプション
- IPv6高速ハイブリッド IPv6 IPoE + IPv4
- OCNバーチャルコネクト
- クロスパス
これらの高速通信方式の中でどれが一番速いのか?どれが一番使い勝手が良いのか?を説明していきます。
最も速い高速通信方式は?
「IPv6(IPoE)+IPv4 over IPv6」はフレッツ光の夜間の混雑を迂回して高速通信できる技術です。
では、これら6つの高速通信方式の中でどの通信方式が一番速いのか?というと、答えは「どれも同じ速さ」となります。
速さの秘密はそれぞれの独自技術ではなく、6つの高速通信方式が共通で採用している「IPv6(IPoE)による通信」が速さの秘密なのです。
「IPv4(PPPoE)」や「IPv6(PPPoE)」では、接続(通信)のたびにIDとパスワードでの認証が必要であるため、認証サーバーが混雑してしまい遅くなります。
「IPv6(IPoE)」では、回線自体が認証されているので接続(通信)のたびに認証を行う必要がない、つまり混雑の原因である認証サーバーが不要なのです。
よって、6つの高速通信方式は理論上「すべて同じくらい速い」となります。
よく「IPv6は利用者がまだ少ないから混雑しないで速い」と解説しているサイトがありますが、これは間違いです。
利用者が少ないから混雑しないのではなく、混雑の原因となる「IDとパスワードによる認証」が不要だから混雑しないのです。
そもそも「IPv6(IPoE)+IPv4 over IPv6」の目的
フレッツ光回線が特に夜間に急激に遅くなったことで「IPv6(IPoE)+IPv4 over IPv6」通信方式が脚光を浴びています。
そのため、まさに「IPv6(IPoE)+IPv4 over IPv6」はフレッツ光を高速化するための技術のように思えますが、実は「IPv6(IPoE)+IPv4 over IPv6」通信技術はゆるやかにIPv4環境からIPv6環境へ移行するのが目的の技術です。
インターネットの急激な普及によってIPv4アドレスが急速に枯渇していることから、世界的にIPv6環境への早期の移行が必須となっています。
この「IPv4からIPv6への移行」で問題となっているのが、「IPv6だとIPv4サイトが見れない」という大問題です。この問題を解決する技術、IPv6でもIPv4サイトが見れる・利用できるための技術が「IPv6(IPoE)+IPv4 over IPv6」です。
よって、「IPv6(IPoE)+IPv4 over IPv6」の本来の目的は「フレッツ光を速くする」のではなく、「IPv4アドレスの枯渇を防ぐ」「ゆるやかにIPv4からIPv6へ移行する」のが目的です。
目的を達成しているのは「Transix」
この目的の達成に最も貢献している高速通信方式は「Tranxix」です。
Transix方式は利用者の個別のルーターにIPv4アドレスを付与しません。Transixの「IPv4 over IPv6」方式は利用者個別のルーターではなく、Transixプロバイダー(IMF)とインターネットの接点にのみ付与されます。
一方、「v6プラス」をはじめとする他の高速通信は利用者個別のルーターにIPv4アドレスを付与します。このため、プロバイダーは多くのIPv4アドレスをプールしておく必要があります。
「IPv6(IPoE)+IPv4 over IPv6」の目的の一つである「IPv4アドレスの枯渇問題」に関して、もっとも社会貢献しているのは「Transix」です。
使い勝手は「v6プラス」が優れている?
ですが、皮肉にも使い勝手を見ると「利用者個別のルーターにIPv4アドレスが付与されている」方が使い勝手が良い場合が多いのです。
たとえば、ゲーム・ウェブサーバー公開・自宅とのVPN通信など、自宅のルーター設定で特定のポート開放が必要となる場面があります。
この場合、利用者個別のルーターにIPv4アドレスを付与しない「Transix」は個別にポート開放することができません。
一方、「v6プラス」「IPv6オプション」「OCNバーチャルコネクト」「IPv6高速ハイブリッド IPv6 IPoE + IPv4」は利用者個別ルーターにIPv4アドレスが付与されるため、制限付きながらも個別ポートの開放ができます。
さらに「v6プラス」は固定IPv4アドレスも利用可能
さらに「v6プラス」では利用者個別のルーターに「IPv4固定アドレスサービス」を提供しており、「v6プラス」環境でありながらIPv4固定IPアドレスも使えるサービスを提供しています。
まさに「速さ」と「使い勝手」を両立させたサービスと言えます。
このように、使い勝手の面から考えると「v6プラス」>「IPv6高速ハイブリッド IPv6 IPoE + IPv4/IPv6オプション/OCNバーチャルコネクト」>「Transix」と言えます。
まだまだIPv4が主流のインターネットの世界では、使い勝手を考えるとまだIPv4アドレスは無視できない、ということがはっきりとわかります。
迷ったら「v6プラス」
このように、本来の目的達成のための技術としては「Transix」が最も優れていると言えますが、使い勝手は「v6プラス」が優れていると言えます。
「ウェブ閲覧する」「動画を見る・音楽を聴く」などの普通の使い方の場合は「Transix」も「v6プラス」も気にする必要はありませんが、「ゲームをする」「ウェブカメラを使っている」などの場合には「v6プラス」他を使っているほうが便利な場面が多くあります。
「どの通信方式が良いかな?」と迷ったときは、とりあえず「v6プラス」を選んでおくと良いでしょう。
「IPv4 over IPv6」+「IPv6(IPoE)」をお試ししてみよう
プロバイダー単独タイプのサービス
フレッツ光回線ではもはや必須ともいえる「IPv4 over IPv6」と「IPv6(IPoE)」の組み合わせサービスですが、このサービスを提供しているのはフレッツ光とプロバイダーがセットになったフレッツ光コラボだけではありません。
従来のようにフレッツ光回線をNTT東西と契約、別途プロバイダーとも契約、という方向けの「プロバイダー単独サービス」でも高速通信方式を提供しているプロバイダーがあります。
プロバイダーのお試し
フレッツ光回線(NTT契約)をご利用の方も、そしてフレッツ光コラボをご利用の方も、自宅ルーターの設定によってプロバイダーだけを変更することができます。
そして、「お試しができるプロバイダー単独サービス」を使ってみることで、「IPv4 over IPv6」+「IPv6(IPoE)」を体験してみることができます。
インターリンク「ZOOTNATIVE(ずっとネイティブ)」
老舗プロバイダーのインターリンクが「ZOOTNATIVE(ずっとネイティブ)」というサービス名で、プロバイダー単独サービスを提供しています。
採用しているサービスは「Transix」です。
基本的な料金はプロバイダー月額料金1,000円ですが、「最大2か月間無料体験」ができます。加入月とその翌月が無料です。
また、無料体験期間が終了したとしても「契約期間のしばり」はないので、いつでも解約できます。
エキサイト「MEC光接続プラン」
excite社では、「Transix」を採用したフレッツ光コラボ「エキサイトMEC光」を提供していますが、このサービスのプロバイダー機能だけをプロバイダー単独サービスとして提供しているのが「MEC光接続プラン」です。
「MEC光」はフレッツ光コラボ、「MEC光接続プラン」はプロバイダー単独サービス、となります。
「MEC光接続プラン」は「MEC光」同様「Transix」を提供しており、通常月額700円でのプロバイダー単独サービスの利用が可能、しかも「最大2か月間無料体験」ができます。加入月と翌月が無料です。
また、MEC光接続プランでも、無料体験期間が終了したとしても「契約期間のしばり」はないので、いつでも解約できます。
お試しの注意点
対応ルーターが必要
プロバイダー単独サービスを利用して、フレッツ光高速通信を体験してみたい方は、当然ながら対応ルーターが必要です。
「ZOOTNATIVE」も「MEC光接続プラン」も採用しているサービスは「Transix」なので、対応ルーター状況はこちらで確認してください。
transix IPv4接続(DS-Lite) | インターネットマルチフィード
現在すでに「IPv6」をご利用の方は利用不可
高速通信サービスはNTTの「IPv6オプション」を利用したサービスです。NTTの「IPv6オプション」は無料ですが申し込み必要です。
通常、「v6プラス」や「Transix」などのサービスをご利用の場合、プロバイダーが手続き代行してくれます。
現在ご利用のプロバイダーですでに「v6プラス」や「Transix」などをご利用の場合、すでに「IPv6オプション」が申請されており、別のプロバイダー(お試しできるプロバイダー)での申請ができません。
よって「現在v6プラスを使っているけどTransixも使ってみたい」ということはできません。
特に、ソフトバンク光をご利用の方で「IPv6高速ハイブリッド IPv6 IPoE + IPv4」の申し込みをしている方も、別のプロバイダー(お試しできるプロバイダー)での申請ができません。
逆に言えば、現在ソフトバンク光をご利用の方でも「IPv6高速ハイブリッド IPv6 IPoE + IPv4」を申し込んでいなければ(NTTのIPv6オプションが申請されていなければ)、「ZOOTNATIVE」や「MEC光接続プラン」を試してみることができます。
v6プラスのすべてが揃ったプロバイダー
先述の環境のすべてがそろっているプロバイダーをご紹介します。
いずれのプロバイダーも「IPV6/IPoE対応」を正式に謳っており、動作確認済のIPV6/IPoE対応ルーターをオプション提供(有料・無料)してくれます。
ドコモ光セット割対応プロバイダー
ドコモのスマホをお使いの方がスマホと光回線のセット割「ドコモ光セット割」の適用を受けることができるドコモ光サービスです。
こちらのドコモ光は月額料金最安の「タイプA」のサービスで、もちろん「IPV4 over IPV6サービス」に対応した高速通信が期待できるサービスです。
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auスマートバリュー対応プロバイダー
auスマホをお使いの方がスマホと光回線のセット割「auスマートバリュー」の適用を受けることができる光回線サービスです。
フレッツ光回線を利用しながらも「auスマートバリュー」適用が可能であり、もちろん「IPV4 over IPV6サービス」に対応した高速通信が期待できるサービスです。
So-net光プラス(v6プラス&IPv4(PPPoE)同時利用可)
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ソフトバンクスマホとのセット割
ソフトバンクスマホをお使いの方がスマホと光回線のセット割「おうち割光セット」の適用を受けることができる光回線サービスです。また、ソフトバンクのサブブランドであるY!mobile(ワイモバイル)をご利用の方も割引適用される「ワイモバイルおうち割」の対象回線でもあります。
ソフトバンクスマホでもワイモバイルスマホでもお得な割引が受けられるうえ、もちろん「IPV4 over IPV6サービス」に対応した高速通信が期待できるサービスです。
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フレッツ光コラボレーション
光回線だけの契約や、スマホの契約回線数が1回線なら安いフレッツ光コラボの方が安くなります。
シンプルな「ずっと定額」「いつでも解約できる(違約金なし)」で最安級のフレッツ光コラボをご紹介します。
GMO光アクセス(新登場!)
enひかり(v6プラス固定IPアドレス対応)
- 「ずっと定額」「契約しばりなし」のシンプルプラン
- 戸建て4,620円、マンション3,520円の最安級フレッツ光
- v6プラス対応ルーター格安販売中
- v6プラス固定IPアドレスサービス対応(700円/月)
- UQモバイルセット割引「勝手に割り」
プロバイダー単独サービス
すでに自宅にフレッツ光回線が開通していて、プロバイダーだけを乗り換えて「IPV4 over IPV6サービス」を体験してみたい、という方はこちらのプロバイダーサービスをご利用ください。
「IPV4 over IPV6サービス」の環境がすべてそ揃ったプロバイダーであり、NTTへのIPV6申請手続き等の代行もやってくれます。
GMOとくとくBB V6プラス
- プロバイダー独立型サービス(回線契約はNTT)
- IPV6オプション標準装備(V6プラス対応)
- 月額991円(およびフレッツ光ネクスト回線別途)
- IPV6/IPoEルーター(WRC-2533GST2)レンタル込
INTERLINK ZOOT NATIVE
- プロバイダー独立型サービス(回線契約はNTT)
- IPV6オプション標準装備(transix対応)
- 月額1,000円(およびフレッツ光ネクスト回線別途)
- 最大2ヶ月無料試用可能
- 最低利用期間・解約違約金なし
- 別途DS-Lite対応ルーター必要