自宅の固定回線として使う回線サービスにはまず光回線が検討されますが、「工事したくない(できない)」「すぐに(早く)使いたい」などの理由で据え置き型ホームルーターも人気です。
たとえばソフトバンクのSoftbank AirやKDDI系列のWiMAXなどのサービスです。
そして、さらに安い自宅の固定回線は?と検討している人に人気なのが楽天モバイル回線を固定回線として使う、という使い方です。
楽天モバイルは携帯電話サービスなので基本的にはSoftbank AirやWiMAXなどと同じ使い方ができるのですが、通信サービスと専用ルーターがセットになったパッケージ商品ではないため、どのルーターを使えばいいのか?が話題となっています。
その中でもっとも多いのが「バンド3に固定できるルーター」という話題です。
この記事では、楽天モバイルを固定回線として使う場合に話題となる「バンド3固定」って何?「バンド3固定しないといけないの?」という点について解説していきます。
楽天モバイルを自宅の固定回線として使うための「バンド3固定」
多くのADSLのサービスプロバイダーが9月末でサービス終了する中で、ADSLからの移行先サービスとして「楽天モバイルを固定回線としてADSLの代わりに使う」という方が増えています。
光回線ほどの速度を必要としないライト層が光回線より安い通信サービスとして楽天モバイルを選んでいるという状況です。
楽天モバイルを自宅固定回線として使うメリット
楽天モバイルを自宅の固定回線として使うメリットはズバリ「安いから」です。
楽天モバイルの自社回線エリアならギガ無制限で使えて月額3,278円です。
光回線(戸建て向け)で最安級の「enひかり」が月額4,620円、マンション向けで3,520円である点と比較すると、月額料金が安いという点が魅力です。
また、基本が携帯電話サービスなので、工事不要で導入できる、すぐに使える、という点も魅力です。
- 安い!月額3,278円でギガ無制限
- 早い!工事不要ですぐにWi-Fiが使える
楽天モバイルを自宅固定回線として使うエリア条件
楽天モバイルには「自社回線エリア」と「パートナーエリア」があります。
自社回線エリアは楽天モバイル自社設備で展開しているエリアであり、自社回線を使った通信は「月額3,278円でギガ無制限」で利用することができます。
一方、パートナーエリアは自社回線エリアがカバーできていないエリアをKDDIの電波を借りて展開しているエリアであり、「高速通信は5GB/月まで、5GB/月超過後は通信速度1Mbps」という制限があるためパートナーエリアでの楽天モバイルを固定回線として使うのは厳しい(ムリ)でしょう。
つまり楽天モバイルを自宅固定回線として使う場合の環境条件としては「自宅で楽天自社回線を使った通信ができること」という条件となり、「楽天自社回線=バンド3」ということになります。
- 楽天モバイルには自社回線エリアとパートナーエリアがある
- 固定回線化の条件は「確実に楽天自社回線で通信できる」
楽天モバイルの3つのエリア状況
先述の通り楽天モバイルには「自社回線エリア」と「パートナーエリア」があります。
面倒なのは、多くのエリアで「自社回線とパートナー回線が混在している」という点です。
混在エリアは楽天自社回線の設備拡大によりパートナー回線がやがて終了していき「楽天自社回線のみのエリア」となりますが、現状では広いエリアで「混在したエリア」となっています。
- 楽天自社回線のみのエリア
- パートナー回線のみのエリア
- 楽天自社回線とパートナー回線が混在したエリア
パートナー回線のみのエリア
パートナー回線のみのエリアは今後の楽天自社回線設備の拡大により「混在したエリア」になっていく予定です。
しかし、現状でのパートナー回線のみでは楽天モバイルを自宅固定回線として使うのは厳しいでしょう。
※楽天自社回線エリアになるのを待つ!
自社回線のみのエリア
楽天モバイルの自社回線設備が十分行き届いたエリアではパートナー回線は終了し、その結果「楽天回線のみのエリア」となります。
たとえば東京23区や大阪市内などです。
これら「自社回線のみのエリア」ではバンド3対応ルーターを使うことで楽天モバイルを自宅固定回線として利用することができます。
自社回線とパートナー回線が混在するエリア
ちょっと厄介なのが「自社回線とパートナー回線が混在するエリア」であり、現時点では国内の広い範囲が「混在するエリア」となっています。
このエリアにおいても自社回線設備の拡大により、やがてパートナー回線は終了するので自社回線のみのエリアとなりますが、現時点では混在するエリアです。
この「自社回線とパートナー回線が混在するエリア」において楽天モバイルを固定回線として使うためには「強制的に楽天自社回線(バンド3)で通信できる」ルーター・スマホが必要となります。
バンド3(自社回線)が使えてバンド18(パートナー回線)が使えない、というスマホ・ルーターが必要
楽天モバイルを固定回線として使うための「バンド3固定」とは?
楽天モバイルを自宅固定回線として使う場合に「バンド3固定が必要!」と言われています。
ここまでの説明でおわかりかと思いますが、要するに「楽天モバイルを固定回線として使うためには確実に(強制的に)楽天自社回線で通信する」という必要があるわけです。
そして現時点で日本国内の多くのエリアが「自社回線とパートナー回線が混在したエリア」となっており、この混在したエリアにおいて確実に楽天自社回線(バンド3)で通信するための仕組みのひとつが「バンド3固定」ということになります。
つまり、「バンド3固定」が必須なのではなく「混在するエリアにおいてパートナー回線(バンド18)を使わない」という仕組みが必要、ということです。
- 自社回線とパートナー回線の混在エリアにおいて確実(強制的)に自社回線で通信する仕組み
- 「バンド3が使える」「バンド18が使えない」というだけのこと
楽天モバイルのちょっと複雑なエリア状況
「バンド3固定って何?」「バンド3固定って必要なの?」について説明してきましたが、楽天モバイルのエリア情報と合わせてもう一度整理していきます。
楽天モバイルは2020年4月にサービス開始した時点で、自社の回線設備ではカバーできないエリアをKDDIから借りた電波でカバーして楽天モバイルのサービスとして提供しています。
そのため、現在楽天モバイルのサービスエリアには以下のような3つの状況のエリアがあります。
自社回線のみのエリア | 楽天回線(バンド3)のみ利用可能 |
---|---|
自社回線とパートナー回線が混在するエリア | 楽天回線(バンド3)またはパートナー回線(バンド18)のどちらかにつながる |
パートナー回線のみのエリア | パートナー回線(バンド18)のみ利用可能 |
基本的に楽天モバイルの自社回線エリアはかなり速い速度で拡大しており、自社回線が十分に整備されたエリアにおいてはKDDIローミング(パートナーエリア)は終了していきます。
そのため、最終形態としては「自社回線のみのエリア」が基本となりますが、その過渡期である現在は多くのエリアが「自社回線とパートナー回線が混在」するエリアとなっています。
自社回線のみのエリアでは「バンド3固定」は不要
楽天自社回線の設備が十分行き届いたエリアではパートナー回線は終了しています。
たとえば東京23区や大阪市内などであり、これらのエリアでは楽天自社回線のみ利用可能です。
これら楽天自社回線のみのエリアでは「バンド3固定」する必要はありません。
パートナー回線は終了しているので楽天自社回線しか利用できないからです。
つまりこのエリアでは「バンド3が使えるルーター」であれば楽天モバイルの「ギガ無制限で月額3,278円」のサービスが利用できます。
パートナー回線のみのエリアでは「固定回線利用」は厳しい
一方で自社回線の整備が全く進んでいない「パートナー回線のみのエリア」では楽天モバイルを固定回線として利用するのは厳しいです。
パートナー回線では月間の高速通信は5GB/月までであり5GB/月を超過すると通信速度1Mbpsと制限されてしまうからです。
このパートナー回線のサービス内容では楽天モバイルを固定回線として使うのは難しい(ムリ)ですね。
混在するエリアでは「バンド3固定」が必要
そして、現時点では多くのエリアにおいて自社回線とパートナー回線が混在しています。
今後の楽天自社回線の整備が進むことでパートナー回線は終了していきますが、現時点ではまだ多くのエリアが自社回線とパートナー回線が混在したエリアとなっています。
そして、この混在したエリアにおいては「強制的に自社回線(バンド3)を利用する仕組み」が必要です。
この仕組みとは「バンド3利用可、バンド18利用不可」という仕組みです。
この仕組みのルーターであれば自社回線とパートナー回線が混在するエリアにおいても楽天自社回線を利用して「ギガ無制限で月額3,278円」が実現できるわけです。
エリア別に固定回線化を整理する
では、ここまでのまとめとして「自社回線のみのエリア」「パートナー回線のみのエリア」「混在するエリア」について固定回線化して使うための条件をまとめます。
自社回線のみのエリア | バンド3が使えるルーターなら固定回線化ができる |
---|---|
パートナー回線のみのエリア | 固定回線化は難しい 自社回線エリアが広がるのを待つ |
混在するエリア | バンド3が使えてバンド18が使えないルーターで固定回線化ができる |
「固定回線化ができる」とは「楽天自社回線が使える」ということ
上記のまとめで「固定回線化ができる」とは「楽天自社回線が使える」ということであり「ギガ無制限で月額3,278円」の使い方が実現できる、ということです。
パートナー回線では「高速通信は5GB/月まで、5GB/月超過後は通信速度1Mbps」では固定化は無理、ということにしています。
楽天モバイルのエリアの拡大ステップ
楽天モバイルのエリアはサービス開始当初はほぼ全国がパートナーエリアでしたが、この一年で自社回線エリアが大きく拡大されてきました。
そして、地域ごとに自社回線での設備が十分整備されたところからパートナーエリア(KDDIローミング)は終了し、自社回線のみのエリアとなっていきます。
この流れは今後も継続され、現在すでに東京23区内や大阪市内などではパートナーエリアは終了しており、そして今後まずは2022年3月には多くのエリアでパートナー回線は終了します。
自宅のエリア状況を知ることが大事
つまり、楽天モバイルを自宅固定回線として使おうとする場合、自分の自宅のエリア状況がどうなっているのか、今後どうなるのか、を知ることが大事です。
すでに自社回線のみ、または近日中に自社回線のみになる予定、のエリアであればバンド3が使えれば楽天自社回線でのサービス利用ができます。
また、当分は混在するエリア、または現在パートナーエリアで今後自社回線エリアになる予定、であれば混在する回線の中で楽天自社回線(バンド3)を強制的に利用できるルーターが必要、ということになります。
楽天モバイルエリアマップとKDDIローミングエリアマップ
楽天モバイルを自宅固定回線として使う場合、自宅のエリア状況を知ることが大事です。
「自社回線のみのエリア」「パートナー回線のみのエリア」「混在したエリア」のどのエリアなのか?を知ることです。
楽天モバイル「サービスエリアマップ」
楽天モバイルではサービスエリアマップを公開しています。
【楽天モバイルエリアマップ】
上記は楽天モバイルエリアマップの関東地区ですが、「濃いピンク」のエリアは「自社回線のみ、または混在したエリア」であり、「薄いピンク」のエリアは「パートナー回線のみのエリア」です。
つまり、楽天モバイルのエリアマップでは「パートナー回線のみのエリア」はわかりますが、「自社回線のみ」「混在」の区別がつきません。
KDDI「楽天モバイル向けローミングエリアマップ」
KDDIは楽天モバイル向けにローミング提供しているエリアをローミングエリアマップとして公開しています。
【KDDIローミングエリアマップ】
上記の「オレンジ色」のエリアがKDDIが楽天モバイル向けにローミング提供しているエリア、つまりパートナー回線エリアということになります。
「オレンジ色以外」つまり白いエリアではローミングを提供していない(終了している)エリアとなります。
パートナー回線のみのエリアはどこ?
「パートナー回線のみのエリア」は簡単です。
楽天モバイルエリアマップにおいて「薄いピンク色」のエリアがパートナー回線のみのエリアとなります。
また、「今後の予定」を見ることで「紫色」のエリアが自社回線エリアの拡大予定なので、「現在は薄いピンク」「予定では紫色」のエリアは近日中に「自社回線とパートナー回線が混在したエリア」になることがわかります。
自社回線とパートナー回線が混在するエリアはどこ?
「楽天自社回線とパートナー回線の混在」のエリアは、楽天モバイルエリアマップにおいて「自社回線エリア」かつKDDIローミングマップのおいて「ローミング提供しているエリア」です。
【楽天モバイルエリアマップ】
【KDDIローミングエリアマップ】
楽天モバイルエリアマップにおいて「濃いピンク」のエリア、かつKDDIローミングマップにおいて「オレンジ色」のエリアが「自社回線とパートナー回線が混在するエリア」となります。
自社回線のみのエリアはどこ?
「自社回線のみ」のエリアは、楽天モバイルエリアマップにおいて「自社回線エリア」かつKDDIローミングマップのおいて「ローミング提供していないエリア」です。
たとえば、以下の東京都23区になります。
【楽天モバイルエリアマップ】
【KDDIローミングエリアマップ】
東京23区内はすでにKDDIローミング(パートナー回線)が終了しており、KDDIローミングマップにおいて23区内はきれいに「白色エリア(ローミング非提供)」となっています。
パートナー回線は今後どうなる?
KDDIの「楽天モバイル向けローミング情報」にはローミング(パートナーエリア)の提供エリアおよび提供終了予定も記載されています。
楽天モバイルの自社回線設備が十分にいきわたった地域においてはKDDIローミング(パートナーエリア)は終了していきます。
よって、KDDIローミングの終了するエリアは「楽天自社回線のみのエリア」になる、ということです。
そして、注目は現在の予定では2022年3月までに多くのエリアでKDDIローミング(パートナーエリア)が終了予定となっている、という点です。
予定通りであれば、2022年4月以降は広いエリアにおいて「楽天自社回線のみのエリア」になる、ということが予想されます。
楽天モバイル固定回線利用におすすめのルーター
では、楽天モバイルを自宅の固定回線として使う場合のおすすめルーターをご紹介していきます。
ここまで説明したように、以下の2点がポイントとなります。
- 固定回線利用には自社回線で通信する
- 面倒なのは「自社回線とパートナー回線の混在エリア」
自社回線のみのエリアのおすすめルーター
楽天モバイルの自社回線のみのエリアではバンド3対応のスマホ・ルーターであれば「月額3,278円でギガ無制限」の利用ができます。
この場合のスマホ・ルーター選びは簡単で「バンド3対応」であればOKです。
比較的低価格・比較的高性能なルーターとして「SONY NCP-HG100」がおすすめです。
非常に多くの周波数帯に対応しており、楽天モバイル自社回線対応に加えてドコモ・au・ソフトバンクのプラチナバンドにも対応しています。
もちろんSIMフリールーターなので楽天モバイル以外のSIMでも使え、それぞれのプラチナバンドでの通信が可能です。
自社回線とパートナー回線が混在するエリアのおすすめルーター
楽天自社回線とパートナー回線が混在するエリアでは「バンド3が使える」「バンド18が使えない」という機能や設定可能なルーターが必要となります。
おすすめはWiMAX+5G向けの高性能ルーター「Speed Wi-Fi HOME 5G L11」です。
ルーターの設定画面から簡単に「バンド3のみ使う」「バンド3とバンド18を使う」という切り分け設定が可能なので、混在エリアにおいて簡単にバンド3固定ができます。
本来がWiMAX+5G(au系回線)向けのルーターなので、楽天モバイル以外でもマイネオ(mineo)の「Aプラン」などau系回線でauプラチナバンドを利用することもできます。